|
日本には、春夏秋冬の四季だけではなく、二十四の節気と、
七十二もの候という季節があり、そうした季節の移ろいをこまやかに
感じとって生活してきました。道端の草花や、空を見上げながら、
ゆっくりと旧暦のある暮らしをを楽しめればと‥‥ |
|
春の雨は、作物にとって恵みの雨です。穀物を育む雨のことを瑞雨(ずいう)
また草木をうるおす雨を甘雨(かんう)などさまざまな雨の名があります。
穀雨とは新暦ではおおよそ 4月19日〜5月4日ごろ |
|
|
『 葭始めて生ず 』(あしはじめてしょうず)
新暦ではおおよそ 4月19日〜4月24日ごろ |
|
穀雨 初候 『 葭始めて生ず 』:水辺の葦が、芽を吹きはじめるころ。
夏には背を伸ばし、秋には金色の穂が風になびきます。 |
|
葦 よし |
|
|
関東では ” アシ ” 関西では ” ヨシ ” と呼び習わしていました。
” アシ ” が「悪し」に通じるのを忌んで、逆の意味の ” 良し” と言い替えたのが定着した
とか。
水辺に生える葦原は、多くの水生動物のよりどころとなり、水質自然浄化作用の上でも
重要な場所であり、野生動物と環境保護に役立ちます。
乾燥させた葦の茎で作ったすだれは、直射日光を遮る葦簀(よしず)と呼ばれ、
また、屋根材としても最適で茅葺民家の葺き替えに現在でも使われています。
|
|
|
藤 ふじ |
|
|
紫色の花が、幹の方から先端に向かって
咲きます。
蔓(つる)は他の木などに「右巻き」に巻
きつくき(これに似ている「山藤(やま
ふじ)」は「左巻き」に巻きつきます)
2mぐらいの長さの蔓になることも。
『 藤浪(ふぢなみ)の
花は盛りに
なりにけり
平城(なら)の都を
思ほすや君 』
万葉集 大伴四綱
(おおとものよつな) |
|
|
|
|
|
『霜止んで苗出ず』(しもやみてなえいず)
新暦ではおおよそ 4月25日〜4月29日ごろ |
|
穀雨 次候 『霜止んで苗出ず』:霜のおおいがとれ、健やかに苗が育つころ。
|
|
|
|
|
五風十雨 |
|
|
五日に一度風が吹き、十日に一度雨が降るような
順調な天気のことをいいます。
そこから転じて世の中が平穏無事と言う意味。
春から初夏へと変わる、気持ちのいい時期
です。 |
|
|
|
れんげ |
|
|
田んぼ一面に敷き詰められた、レンゲ畑
赤紫色の絨毯はかっては春の風物詩。
蓮花の漢字を見れば判る通り、
花全体の形を蓮の花に見立てたものの
ようです。
目を楽しませてくれたレンゲは、
鋤込まれ田んぼの肥料になります。
|
|
|
|
|
『牡丹華さく』(ぼたんはなさく)
新暦ではおおよそ 4月30日〜5月4日ごろ
|
|
穀雨 末候 『牡丹華さく』:牡丹の花が咲き出すころ。
|
|
|
|
|
|
八十八夜 |
|
|
立春から数えて八十八日目の夜。
( 5月の1日〜3日ごろ )
もうすぐ初夏を迎える時期。
八十八夜は農の吉日で、農作業の身安とさ
れてきました。
八十八夜に摘んだ茶葉は長寿の薬ともいわ
れ、香りもやさしく、ほのかな甘みがする
新茶。 |
|
|
端午の節句 |
|
五月五日は端午の節句。
鯉のぼりの風習は江戸時代のころから。
男の子の立身出世を願う武士の家々で
鯉のぼりを掲げたそうです。
今では、こどもの健康を願う鯉のぼりが
五月の青空に泳いでいます。 |
|
|
|
|
|
|
* 主な参考文献 講談社 『日本大歳時記』 東邦出版 白井明大 著『日本の七十二候を楽しむ』